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死刑制度について

死刑判決には多くの人が悩み、そして考えさせられていることと思う。

世界を見渡してみても、死刑制度を廃止している国が結構多い。
その理由は残虐であり、人道的にも問題があると指摘されている。

たしかに、人が人の命を奪うことは、神でもない限り合理的とは言えないだろう。

最近では「オウム」の教祖と信者らの死刑が一斉に執行されたことは記憶に新しい。
社会的にも大きな関心を集めたが、刑法・刑事訴訟法に死刑が明記され、それを担当する役所があり、
係官も存在しているのも厳然たる事実だ。

その役所は法務省であり、事務分掌は矯正局である。
具体的には全国各地の矯正管区が刑務所や拘置所、少年院などを管轄している。

死刑は一般の懲役刑とは異なり、刑が執行されるまでは未決囚扱いとなり、刑務所ではなく拘置所に
収容されている。理屈で言えば労役の義務はなく独房でおとなしく時間を過ごすのが実態だ。

日本弁護士会を中心に、死刑制度の廃止を訴えているが、最近では政府内部でも賛否両論が表面化してきた。
前述したように、人が人を殺害する行為(法律)は深刻な問題を内包していることに間違いはない。
そうした背景から死刑の廃止が世論の中で大きくなっているようだ。

しかし、被害者の立場を忘れてはならない。死刑囚は二人以上の命を奪っている事例が多い。
私の個人的な見解では、やむを得ない要因があると思う。
戦争という大罪では何千、何万という膨大な人命を奪っていたことはどう裁かれるのか。

それはさておき、私が社会部の司法担当記者時代、大阪市都島区の大阪拘置所を見学したことがある。

死刑の執行室が刑務所ではなく、拘置所にあるというのもそれまで知らなかった。

その執行室は地下にあり、長い階段を下りてその部屋に入ったときは驚かされたものだ。

執行室の前に前室(ぜんしつ)と呼ばれる部屋があり、畳10畳ほどの広さで、もちろん窓などはない。
扉を開けた正面に仏像を描いた壁画があり、その前に合掌するための粗末な椅子が置いてあった。
私が驚いたのは、仏像が描かれた壁画を、係官がドンと押すと、壁画が回転…現れたのがキリストの像
だったことだ。

死刑囚は執行室に入る前、この部屋で最後の「お祈り」をするために用意されたらしい。
それにしても死刑囚の宗派によって、入室前に田舎芝居さながらに壁画をドンデン返しさせるとは
恐れ入るとしか言いようがない。(現在がどうか私は知らない)。

執行室はやはり畳10畳ほどで、天井から絞首刑用のロープが下がり、死刑囚がそこに立つと、
係官が床板を落とすようになっている。
地下には医師のほか検察官も立って待機しており、数分間かけて死亡を確認するらしい。

死刑囚は、誰もこのドンデン返しを知らないだろうと思うと、哀れに思えて仕方なかったことが忘れられない。

作家 津島稜